茨城県において近年発生した災害のうち、被害が大きかったものの概要や、今後被害をもたらす可能のある地震について、ご紹介します。
1.近年発生した災害
東日本大震災(2011)
平成23年(2011年)に3月11日(金)14:46頃、東北地方太平洋沖(三陸沖)を震源とする、国内観測史上最大規模となるマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。
最大震度は宮城県栗原市の震度7。茨城県内においては、8市で震度6強、21市町村で震度6弱を観測し、また、同日15:15には茨城県沖で最大余震(M7.7)が発生し、鉾田市で震度6強、神栖市で震6弱が観測されました。
この地震により、大きな人的被害や住宅被害が発生したほか、上下水道・電気等のライフラインや道路等のインフラが破壊・寸断されました。また、大規模な津波(北茨城市平潟町で最大6.9m、大洗町で最大4mなど)の発生により沿岸の建築物などが浸水・流出する被害を受けるとともに、鹿嶋市・潮来市・神栖市等を中心に大規模な液状化が発生しました。
〇人的被害(茨城県内)
死者66名、行方不明者1名、重症34名、軽症680名
〇住宅被害(茨城県内)
全壊2,634棟、半壊24,995棟、一部損壊191,490棟
床上浸水75棟、床下浸水624棟
※上記の数値は令和2年3月1日現在のものです。
関東・東北豪雨災害(2015)
平成27年9月7日に日本の南で発生した台風第18号が、9日に渥美大島を通過し愛知県に上陸後、温帯低気圧に変わりましたが、湿った空気が流れ込んだ影響で大雨となり、特に県西地域では非常に激しい雨となりました。
7日18時から11日12時までの雨量は、南部を中心に200mを超えるところが多数発生。線状降水帯による鬼怒川上流域への集中豪雨により、常総市若宮戸で溢水、同市三坂町で堤防の決壊が発生し、周辺地域に甚大な被害をもたらしました。
なお、この災害では、古河市、結城市、下妻市、常総市、守谷市、筑西市、坂東市、つくばみらい市、八千代町、境町に災害救助法が適用されました。
〇人的被害(茨城県内)
死者15名(災害関連死12名を含む)、負傷者56名
〇住宅被害(茨城県内)
全壊54棟、半壊5,542棟
床上浸水230棟、床下浸水3,880棟
※上記の数値は平成29年10月16日現在のものです。
東日本台風災害(2019)
令和元年10月6日に南鳥島近海で発生した台風第19号は、大型で猛烈な台風に発達した後、日本の南を北上し、12日伊豆半島に上陸、関東地方を通過した後、13日に日本の東海上で温帯低気圧に変化しました。
この台風第19号の影響で、県内各地で記録的な大雨となりました。久慈川では、大子町にある久慈川橋水位観測地点の水位が13日に計画高に迫り、大子町では護岸崩壊などが起き、下流の常陸大宮市や常陸太田市においても堤防決壊や越水などが発生しました。
また、JR水郡線の袋田駅-常陸大子駅間にある第6久慈川橋が流され、西金駅―上小川駅間の第2久慈川橋も傾き不通となりました。そのほか、那珂川、那珂川水系藤井川においても、常陸大宮市をはじめ、那珂市、水戸市で堤防決壊や越水が発生するなど、県内各地に甚大な被害をもたらす災害となりました。
〇人的被害(茨城県内)
死者2名、行方不明者1名、負傷者20名
〇住宅被害(茨城県内)
全壊146棟、半壊1,590棟、一部損壊1,721棟
床上浸水104棟、床下浸水443棟
2.今後発生が想定される災害(地震)
茨城県を震源とする想定地震
茨城県及びその周辺地域における過去の地震被害や断層の分布状況を踏まえ、大きな被害をもたらす恐れのあるものとして次の7つの地震を想定しています。
No | 想 定 地 震 | 地震規模 |
1 | 茨城県南部の地震 | Mw 7.3 |
2 | 茨城・埼玉県境の地震 | Mw 7.3 |
3 | F1断層、北方陸域の断層、塩ノ平地震断層の連動による地震 | Mw 7.1 |
4 | 棚倉破砕帯東縁断層、同西縁断層の連動による地震 | Mw 7.0 |
5 | 太平洋プレート内の地震(北部) | Mw 7.5 |
6 | 太平洋プレート内の地震(南部) | Mw 7.5 |
7 | 茨城県沖から房総半島沖にかけての地震 | Mw 8.4 |
南海トラフ地震
「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」第3条第1項の規定に基づき、茨城県では、次の地域(6市1町1村)が「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。
水戸市、日立市、ひたちなか市、鹿嶋市、神栖市、鉾田市、大洗町、東海村
(参考)「南海トラフ地震防災対策推進地域」
・南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域を、科学的に想定し得る最大規模の地震を想定し、内閣総理大臣が指定するもの。
首都直下地震
「首都直下地震対策特別措置法」第3条に基づき、茨城県では、次の地域(29市8町2村)が「首都直下地震緊急対策地域」に指定されています。
水戸市、日立市、土浦市、古河市、石岡市、結城市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、高萩市、北茨城市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、鹿嶋市、潮来市、守谷市、筑西市、坂東市、稲敷市、かすみがうら市、桜川市、神栖市、行方市、鉾田市、つくばみらい市、小美玉市、茨城町、大洗町、東海村、阿見町、河内町、八千代町、五霞町、境町、利根町
(参考)「首都直下地震緊急対策地域」
・首都直下地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、緊急に地震対策を推進する必要がある地域を、内閣総理大臣が指定するもの。