茨城県災害ボランティア活動支援サイト

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災害ボランティア活動の歩み

 災害の多い日本では、被災の経験を経ながら、「災害ボランティア活動」という共助による被災者支援の仕組みが徐々に形作られてきました。
 ここでは、災害ボランティア活動というものが広く認識されたきっかけとなる災害から、その後に多くの災害で災害ボランティアが活動をする中で、どのような流れを経て現状のような支援体制となったのか、ターニングポイントとなる災害を取り上げながら、触れていきたいと思います。

1.1995年(災害ボランティア元年)


 「ボランティア元年」と呼ばれる年があります。これは、阪神・淡路大震災が起こった、1995年(平成7年)のことを指します。
 甚大な被害や被災者の大変な避難生活をニュースなどで知り、「被災者のために何かできないか」と全国からたくさんの人たちが被災地に駆けつけ、できることを模索しながら支援活動にあたりました。
 ただ、当時は、現在のように災害ボランティアセンターが設置されるような体制もなく、災害ボランティア活動をしたいと思って集まった人たちの活動調整をする主体が確立していなかったことから、現場では大きな混乱が生じていました。

※阪神・淡路大震災における神戸市の被害(写真提供:神戸市)


2.2004年(豪雨・台風・地震災害の多発)


 阪神・淡路大震災から約10年が過ぎた2004年(平成16年)という年は、災害が非常に多発した年でした。発達した梅雨前線による新潟・福島豪雨、福井豪雨に続き10個の台風が発生したうえ、新潟県中越地震により、1年間で87カ所の災害ボランティアセンターが開設・運営されました。このような状況を受けて、全市町村に組織を有する社会福祉協議会が中心となって災害ボランティアセンターを設置・運営することが定着していきます。
※災害ボランティアセンターの詳細はこちら

※新潟県中越地震の被害


3.2011年(東日本大震災)


 2011年(平成23年)に発生した東日本大震災では、被害が大規模かつ広域的であったことから、NPOやNGO、企業などの様々な支援主体が被災地で活動しました。その中には、災害ボランティアセンターを通さずに被災地へ直接入り、独自に被災者のニーズ(要望)を把握し活動する団体も出てきました。多彩な専門性を持った支援者による活動が行われたことにより、被災者のニーズもより幅広く掘り起こされ、ニーズに応じた支援を行うNPO・ボランティア団体等の活動も多様化しました。

※東日本大震災の被災地(写真提供:財団法人消防科学総合センター)


4.2015年~(関東・東北豪雨以降)


 被災地において、様々なNPOやボランティア団体が幅広い被災者支援の活動をおこなうようになる中で、災害ボランティアセンターを通さずに活動するこれらの団体の活動調整をおこなう「中間支援機能」が注目されるようになりました。
 2015年(平成27年)の関東・東北豪雨では、茨城県常総市において、鬼怒川の氾濫による堤防決壊が発生し、周辺地域に甚大な被害を及ぼしました。

※関東・東北豪雨における常総市の被害(写真提供:財団法人消防科学総合センター)

 この際、全国から駆け付け被災現場で活動する災害系NPO・ボランティア団体等が集まって情報共有や活動調整をおこなう「NPO連絡会議」と、行政・社会福祉協議会・NPO等が集まって現場の課題解決策の検討などをおこなう「災害支援情報共有会議」が開催され、被災者支援に大きな効果を上げました。
 続いて翌年に発生した熊本地震では、常総市の両会議でも活躍したJVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)や地元NPO等が中心となって「火の国会議」が立ち上がり、行政や社会福祉協議会も加わる中で被災者支援のための情報共有・活動調整などがおこなわれました。これ以降、九州北部豪雨、平成30年7月豪雨など、全国各地で発生した大規模災害においても、同様の手法がとられるようになっています。
  
 現在も、各地域において、行政・社会福祉協議会・NPO・ボランティア団体ほか多様な主体が連携し、より良い被災者支援活動のできる体制を模索しています。


5.近年の主な災害年表と災害ボランティア活動者数


 近年の災害事例と、各災害で活動した災害ボランティアの人数は以下のとおりです。

災害発生年災害の名称災害ボランティア活動者数
1995年(平成7年)阪神・淡路大震災約137.7万人
1997年(平成9年)ナホトカ号海難事故約27万人
2004年(平成16年)台風23号約5.6万人
2004年(平成16年)新潟県中越地震約9.5万人
2007年(平成19年)能登半島地震約1.5万人
2007年(平成19年)中越沖地震約1.5万人
2009年(平成21年)台風9号約2.2万人
2011年(平成23年)東日本大震災約150万人 ※1
2014年(平成26年)広島豪雨災害約4.3万人
2015年(平成27年)関東・東北豪雨災害約4.7万人
2016年(平成28年)熊本地震約11.8万人
2017年(平成29年)九州北部豪雨約6万人
2018年(平成30年)平成30年7月豪雨約26.3万人
2019年(平成30年)北海道胆振東部地震約1.1万人
2020年(令和元年)8月の前線に伴う大雨約1.1万人
2020年(令和元年)令和元年房総半島台風約2.3万人
2020年(令和元年)令和元年東日本大風約19.7万人
2021年(令和2年)令和2年7月豪雨約4.5万人 ※2

          ※1:災害ボランティアセンターを経由せずに活動した人を含めると推定約550万人。
          ※2:令和2年10月26日時点の人数。


●当記事は、内閣府公表資料(「防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック」ほか)を参考に作成しています。

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