災害が起きた場合に、被災地に駆けつけ、被災現場にて被災者のニーズに応じた活動をすることだけが災害ボランティア活動ではありません。被災地に行って災害ボランティア活動をしたいけれど、様々な事情でそれができない場合には、被災地に行かなくてもできる「寄附」「支援物資の提供」なども、被災者を助ける重要な支援となります。
1.寄附
災害発生時には、被災者支援・災害ボランティア支援を趣旨とする、いくつもの寄附(主に金銭的なもの)が、広く一般に募集されます。その種類によって、集められた金銭の使い道が異なりますので、寄附をする場合には、自分の寄附をどのような支援に活用して欲しいかを考えたうえで、寄附先を決めるとよいでしょう。
(1)義援金の寄付
大規模な災害が発生し、多くの住民が被災して住居等に多大な被害が出た場合、被災した自治体などが「義援金」を募集することがあります。
義援金として集められた寄附は、 自治体を経由して、被災した方々に届けられます。
茨城県における県域レベルでの義援金の事例としては、近年では令和元年の東日本台風災害(台風第19号災害)や、平成27年の関東・東北豪雨災害において、義援金の募集をおこないました。
◎令和元年台風第19号災害義援金
義援金総額: 約 804,275千円 (約1,600以上の被災世帯に配分)
◎平成27年9月関東・東北豪雨災害義援金
義援金総額: 約 2,023,926千円 (約5,400以上の被災世帯に配分)
※両義援金とも「日本赤十字社茨城県支部」及び「茨城県共同募金会」に協力いただき、両社に義援金の受付窓口を開設して募集を実施しました。
(2)茨城県災害ボランティア活動支援基金への寄付
茨城県では、大規模災害の発生時に県内で活動する災害ボランティアの方々が活動しやすい環境を整備するため、令和3年4月1日に「茨城県災害ボランティア活動支援基金」を設置し、寄附を募っています。
同基金にいただいた寄附は、被災地の災害ボランティアセンターで災害ボランティアが使用する各種資機材の購入経費や、災害ボランティアを活動現場まで送迎する経費への助成など、 災害ボランティア活動の円滑化に直結する事業に活用 されます。
※当該基金は、災害時だけでなく、平時から寄附を募集しております。詳細はこちらをご覧ください。
(3)その他の寄附
自治体が実施する上記のような寄附の他にも、様々な民間団体が寄附の募集を行います。
例えば、被災地で被災者支援活動を行うNPOやボランティア団体が募集する寄附があります。これは、寄附をおこなう団体の活動資金に対する支援であり、寄附の使途はそれぞれの団体ごとに異なりますが、既に被災現場において支援活動をしながら寄附を募ることが多いため、団体のホームページ等において活動状況や寄附の使い道などが掲載されるなどしています。
そのほか、赤い羽根募金などをおこなう共同募金会の全国組織である「中央共同募金会」では、「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」を実施し、集まった寄附を原資として、被災地の災害ボランティアセンターと連携して活動を行うNPOやボランティア団体などを対象に、災害ボランティア活動に対する助成事業を実施しています。
2.物資支援
災害の発生によりライフラインや物流が一時的に機能停止に陥った被災地では、様々な物資が不足する状況になるため、そういった不足物資の支援(提供)は、被災者や、被災者の支援にあたる災害ボランティアにとって、とても助けになります。
ただし、支援物資の提供の仕方によっては、被災地の負担を増やし、迷惑になってしまうことがあるため、注意が必要です。
例えば、過去の災害では、被災地で次のようなことが起きていました。
◎現地での物資ニーズは刻一刻と変わる中で、ニーズと会わないタイミングで届いた物資が大量に不要となり、その管理場所にも困る。
◎個人から発送されてくる、中身のわからない支援物資の箱の仕分け作業に、現地の職員が謀殺され、本来の業務が滞ってしまう。
◎不要なもの、使えないもの、賞味期限が近いもの等が大量に届き、取り扱いに困る。
◎最終的に余った物資の処分に莫大な経費がかかる。
このように、善意で送られたはずの物資が、被災地では極めて大きな負担となり、「第2の災害」という言葉で表現されることもあります。
では、どのようにすれば、被災地に負担をかけない物資支援ができるでしょうか。
お勧めする方法としては「 被災地の自治体や災害ボランティアセンター、実績のある団体のホームページ等を確認し、これらの組織から公式に募集されている物資を送る 」というものです。その際には「募集期間内に送る」「指定された場所に送る」「指定された方法で送る」という点も順守しましょう。
なお、最近の災害における支援物資の募集方法としては、被災地で必要なものをリストアップして、例えば「Amazonに『ほしいものリスト』として掲載し、物資支援をしたい方がこれをインターネット上で購入すると、それが被災地の必要な場所に配送される」といった、現地ニーズと物資支援を効果的にマッチングする仕組みを取り入れるところも見受けられます。
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